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ピエール=オーギュスト・ルノワール
青色のドレスを着て同じ色の靴下をはいたこの少女は、大きな椅子に腰掛けています。画面を支配する青色は、少女の目の周りの影の表現や、髪の毛や床の絨毯にも施されています。足の組み方は少しおしゃまな感じもしますが、このポーズは晩年の裸婦像にも用いられます。モデルはルノワールのパトロンだった出版業者シャルパンティエの長女(当時4歳)です。シャルパンティエはゾラやモーパッサンなどの小説を出版して成功し、自宅に芸術家や政治家など招いて夜会を開きました。この作品は1877年の第3回印象派グループ展に出品されたもの。ルノワールはモネやピサロと同じく戸外で風景画も描きましたが、同時に人物画や風俗画にも挑戦しました。
ピエール=オーギュスト・ルノワール
《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
1876年 油彩・カンヴァス
印象派の画家ルノワールは、友人のモネとともに戸外制作に基づく風景画を描くかたわら、都市風俗や人物画にも早くから関心を示しました。30代半ばのルノワールはすぐれた肖像画を多く手がけました。この作品に描かれているのは、ジョルジュ・シャルパンティエの当時4歳の長女ジョルジェット。青色のドレスと靴下を身につけたジョルジェットは、椅子にすわって微笑んでいます。伝統的な肖像画のような堅苦しい雰囲気はなく、モデルのくつろいだ様子が生き生きと表現されています。足を組んだおしゃまなポーズと大き過ぎる大人用の椅子との対比により、少女の可愛らしさが際立ちます。近くで見ると、影の表現に青い線が使われているのがわかります。床には絨毯が敷かれ、家具の上には花瓶が飾られており、19世紀のパリの裕福な家庭の様子を伝えてくれます。パリで出版業を営んでいたシャルパンティエは、ゾラやモーパッサンらの小説を出版する一方、自宅で文学サロンを開いていました。妻マルグリットが主催したそのサロンは、芸術家や政治家などが集まる社交の場でした。1875年に印象派の画家たちが開催した作品売り立てで、夫妻はルノワールの作品3点を購入し、その後、両者は親しく交流するようになりました。このジョルジェットの肖像画は、シャルパンティエ家の肖像画として最初に依頼されたものです。
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